きよら通信  〜きよら鍼灸院 高野のブログ〜

祐天寺駅から徒歩3分の住宅街にある小さな一軒家で鍼灸マッサージ治療をしています。

手の倫理



昨年買って第1章を読んだきり、つまづいて積読になっていたのですが
やっと読み終えました。

「第5章 共鳴」からが私には加速度的に面白かったです。
隙のある体に「受け入れる用意がある」からこそ「伝わっていく」。
手が集中を始めると(この本では目の見えない人の例を出しているので「見える体の間借り」となっていますが)「見ている相手の体の間借り」みたいなことが起こることが自分にもあります。
自分が施術しているけれども、
相手の身体の感覚が入ってきて、自分が施術を受けているような感覚。
「あ、ここだな」と私が思った時に「相手がそこ!」と思う瞬間とはまたちょっと違う、
まさに「共鳴」という言い方は適切かもしれない。
もちろん気のせいかも知れませんけど思い込み、
信じて行う、というのも大事だと思っているので。

施術中にこれはどういうことか、なんて考えないけど
この本にはそれが言語化されている感じです。

そして一昨年 6月に「そんなものは推拿ではない」というブログを書きましたが
それを思い出す「第6章 不埒な手」。
ここには内容は書きませんので気になる方は読んでみてください。
特に手技療法関連の仕事をしている人は
みんな読んだ方がいいとは思うんだけれども
読んだことでかえって意識してしまう人もいるかもなあ。
幸い、今までお客様から聞いた
「こういう最低なマッサージ(明らかにセクハラ)を受けた」という話に出てくる
施術所は国家資格のマッサージ師ではない人が働いていると思われる店舗だったので
きちんと3年間専門学校に通った人は
同級生との身体のやりとりの中で一応クリアしてる課題(だと信じたい)とは思われますが
学校でどんなに習っても、触り方が下手な人はいますからね・・・

自分も倫理的、というかさらに職人としての手、
ちょっと目標が高すぎるかもしれませんが
「人の心を動かすような手」を目指したいと思っています。



久しぶりのBIG ISSUE

コロナ緊急三か月通信販売支援 ということで
BIG ISSUEを。
自転車生活で家と職場の往復だけだと
販売者に会う機会がありませんので久しぶりです。
なんか前よりさらにシンプルな表紙になったような気がする。




380号は先日新型ウィルス感染、そして回復が報道されていた活動家のグレタ・トゥーンベリさんが表紙。

本当に凄い人なんだけれども
気候変動問題にまっすぐな彼女を見ていると
電気をふんだんに使い飛行機にも乗り、
普通に生活してしまっている後ろめたさを感じるので目にするのがちょっと苦手でもあります。
新型ウィルスの蔓延も気候変動も
人間の生活の副産物。
自然に敬意を、と思いつつこの東京でどうやって折り合いをつけて暮らすかが難しい。
381号のゲッターズ飯田さんの言葉が響きます。
「明るい未来を想像出来る人には明るい未来が来る。お金至上主義から、
人とのかかわりが大切な時代になる。」


図書館も閉まってるし
液晶画面の見過ぎなので
こういう時はいつもより紙の文字が沁みます。




そして、税金466億円投入の件のマスクが
ついにうちにも配達されました。
これは仕事では使えないし
既に手元には家人が通販で買ったマスクがよりどりみどり。
何も無いよりはマシということで、未使用のQUOカードを添えて、山谷に即転送です。























ひとの気持ちが聴こえたら SWITCHED ON

去年から読みたかった本、
「ひとの気持ちが聴こえたら」。
期待以上。
原題はSWITCHED ON A Memoir of Brain Change and Emotional Awakening。
すごくいい邦訳タイトルだと思った。
筆者のジョン・エルダー・ロビンソン氏は
1970年代にキッスの「火を吹くギター」を制作した人らしい。
若くして独学で世界トップレベルの音響機器の整備や設計技術者になったものの
人間関係がうまくいかずその仕事をやめてしまう。
しかし車の修理工に転身して成功、
そのあとは自閉症に関する本を出版して有名になる、という
仕事面では他人から見れば羨ましいような経歴。
しかし彼自身は自分のアスペルガーの特性から来る対人関係の問題に悩まされ続けていたという。
(人から見るとそれまでの彼は常に自信に満ち溢れ、
対人関係で悩んでいるようには全く見えていなかったというのも興味深い)
その突破口を求めて
2008年 経頭蓋磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation 略してTMS)の研究に
参加したところからこの本の記録が始まる。
彼の脳の中の接続が変化したことで、
彼自身の感受性が劇的に変容を遂げる物語。
彼はそれまで
・人に対応する
・適切なことを言う
・人が当たり前と思っている行動をする
ということが極度に出来なかったのが
この刺激を受けた直後は相手が全てを口に出さなくても相手の気持ちを汲み取れるようになり
その後、刺激の効果があると言われる時間を超えても
他人から見て好ましい言動ができるようになった。
ここでこの話があっさりと終わると
自閉症は将来、TMSで治療できる可能性がある、めでたしめでたし、
になってしまうが
そうはならない。
研究への他の参加者は必ずしもジョン・エルダー・ロビンソン氏のような持続的変化とはならず
すぐに元の状態に戻ってしまったり、
そこまでの効果が出なかったり。
そしてそれまで良い関係だった二人目の妻との関係は
彼が感情を汲み取れるようになったがために悪化して離婚に至る。
時に、人の気持ちがわかりすぎるのは良いことばかりではないのだ。
彼が研究に前向きに参加しつつも問いかけるのは
TMSが自閉症のもたらす社会的苦痛を和らげることに使われるのは喜ばしいことだが
自閉症を「治療」対象とするのが正しいことなのかどうか、
そして必ずしも将来良い結果になるのかどうか、であり
その答えはここにはまだない。
自閉症の人の脳の働きを
多くの人の通常の状態に近づけることによって
特定の分野の秀でたものを抑え込むことにもなる。
実際、過去に偉人と言われた人の子ども時代の振る舞いを
現代に置き換えると自閉症と診断されたであろう人が少なくない。
彼自身、子どもの頃に寂しい思いをしたが
今では自閉症だったから大人になって
ある分野において成功したとわかっていると述べている。
彼は人の顔の認識能力が著しく低いが
(実は自分の息子のことも顔では判別ができず、服やその時の状況で判別しているとこの研究で判明)
全く同じ型の黒のメルセデスベンツが10台、目の前に並んでいても
1台1台の違いを明確に指摘できる。(かなり驚き!!!)


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で この話を身近に置き換えてみると、
かつて専門学校時代、「ツボは見える」と仰った先生がいた。
皮膚を見るとどこがツボか、どの方向にどのくらいの深さで鍼を入れるべきか
見えるんだそうな。
先生の技術は確かにすごかった。
しかし決して万人に思いやりがあるとは言えなかったというか、
わりと偏った性格の方だった。
それを補って余りある鍼灸の才能に恵まれていたけれども
思えば先生は常識を外れない程度に人の気持ちがわからない人だったのだ。
自閉症と診断されるレベルではないにせよ
カリスマとか、才能があると言われる人には癖のある人が多い。
天才的な先生方のことを思い出しつつ、
自分の中の対人傾向についても考察ができたので
読んで良かった。





甲野陽紀氏 セミナー

甲野陽紀 さんの本
「身体は『わたし』を映す間鏡である」。


身体の話というと
鍼灸よりも合気道で考えてしまう今日この頃の私、
先月 この本の紹介を受けて読み始めたとき、
合気道で稽古していることと共通項がある、と
一気に引き込まれました。


「目の前のことを淡々とやることで気持ちにも身体にも落ち着きが生まれる」


別に落ち着いてないじゃんというツッコミが入りそうですが、
いやいや、結構真面目に淡々とやってますので
3年前とは気持ちも身体も違いますよ多分・・・。







そして昨日、九鍼研究会の午後の講座が
この甲野先生のセミナーだというので
すごく楽しみにしていました。


期待を裏切らない体験ができました!


意識の設定が大事というのは研究会代表の石原先生が
昔からおっしゃっていることですが、
その具体例を
二人一組で持った棒を押し合ったり、
肩を押して姿勢が崩れるかどうかの実験を通して
納得していくセミナー。


内容はほぼ本に書いてあることなのですが、
読んだ時は通り過ぎるようなことが、
やってみると奥深い。


「自分の意識の前提を変えると身体のパフォーマンスが変わる。」


例えば、床に平行に腕を伸ばして片足立ちして
先生が上から腕を押す。
軸足に意識がいっていると先生の手を支えられないけれども
挙げた方の足に意識を向けると
グイグイ上から押されても平気。
あ、そうか、
先日 ヨガのレッスンを初めて受けた時
何故かその場では片足で立てなかった理由がわかりました。
緊張して軸足のことばかり考えていたんですね。
それにしても、押されているときに
先生の方から「もうちょっと意識をこっちの足に、そう、できてます!」
とすぐ指導が来るのはびっくりしました。
流石、見ているだけでもわかっちゃうんだなあ。


ちなみに、この本には鍼灸の話は出てきません。
石原先生の出されている本の出版社つながりで
特別ゲストでお招きしたそうです。
でも身体の動きが手足末端の動きと連動しているのは
鍼灸で使うツボを選ぶときの考え方と同じと言えるし
マッサージでも、鍼を打つ動きの中でも役に立つだろうし、
場合によっては言葉の誘導だけで患者さんの感覚を変えるのも可能だと思われますので
鍼灸師は一読して損はないと思います。


調子に乗って、今日  意識の違いで動きが・・・と友人にやってみたけど
今ひとつ会場でやったほどには上手くいきませんでした。
雑念の多い環境下では
一動作一注意に誘導するのが難しい。


これから試行錯誤して
まずは自分自身から、もっと上手に身体を使っていこうと思います。


記念に本にサインしていただき、
面白かったね!とおしゃべりに夢中な帰り道、
私の肩に会の名前シールがデカデカと貼ったままだと
教えてくれる人は誰もいなかった・・・
家まで1時間、電車もバスも、そのままで帰ってしまいました!
昔 印堂にせんねん灸貼ったまま中央線に乗って以来の赤っ恥です。
まあそれくらい興奮が冷めやらなかったということでご愛嬌・・・。


本は治療室に置いておきます。
ご興味ある方は是非お手に取ってご覧ください。

漫画 きょうの灸せんせい



みけねこ鍼灸院に続いて
また鍼灸漫画発見。
しかも今回は灸だけ!
巻末にフェリシモの灸セットの写真が載っているので
コラボ作品なのでしょうか。

京都のお灸治療院。
昔、後輩が京都で開業してた時のお店も
素敵だと思ったけど
やはりお灸のふんわりと漂う煙は
「和」のイメージだから京都の風景と合いますね。
この漫画にも猫が出てきます。
漫画家さんには愛猫家が多いのですね。

「みけねこ鍼灸院」はかなりユルフワな感じでしたが
こちらはもう少し理屈っぽいことが描かれています。
説明が上手なので参考になります。

灸先生の髪型と顎髭がいかにも、すぎて
好きじゃないけど
続きが楽しみです。